おサル気まぐれ日記 ~ルレナバケから世界へ~

南米ボリビアのアマゾンールレナバケで暮らすおサルな私が、ジャングルの自然素材を使ってルレナバケの人たちが生み出した手づくり雑貨の店を経営しながら、気まぐれに日々の出来事や思いをつづり、ジャングルの香りをお届けします。


 1981年、22歳だったイスラエル人のヨシ・ジンスバーグは、ボリビアに10年住む自称地理学者のオーストリア人カールのガイドのもと、旅先で知り合ったアメリカ人のケビン、スイス人のマルクスとともにボリビア・アマゾンの未開の地ジャングルへ知られざる砂金の採掘地を求めて探検の旅へと出かけた。

 が、予定通りに目指していた先住民集落にたどり着くことができず、厳しい環境のジャングルで彷徨ううちに4人の人間関係がギクシャクしてくる。そして、カールとマルクスはもと来た道を歩いて戻ることを決め、一方ヨシとケビンはカールに危険だと聞かされながらも筏でトゥイチ河(アマゾン河源流のひとつ)を下ってルレナバケまで向かうことを決心し、そこでグループは決別した。その後、ヨシとケビンは筏に乗って河を下っていくが、ケビンが陸に上がった一瞬の隙に筏が岩から離れ、筏に乗ったヨシは一人滝を落ちさらに急流へと流されて行き・・・


 そこからヨシがジャングルをたった一人でサバイバルし生還するまでの物語が続き、最終的に三週間ジャングルを一人で生き抜いた後、先に現地の猟師に奇跡的に発見され助けられていたケビンの友の命を想う強い信念と行動力によって、これまた奇跡的に発見され救助された。(ちなみに、この時ヨシを救助に大きく貢献したティコ・トゥデラ氏は、その後ルレナバケにて最初のジャングルツアー会社を開業する。現在、70歳前くらい。)



 こうして無事に奇跡の生還を遂げたヨシは、その後自分の体験を本にして出版。その生還ストーリーはイスラエルを初めとして世界中の旅人を魅了し、時を置かずしてジャングルへの出発地点としてルレナバケの町には世界中からバッグパッカーが訪れるようになり、そして、今では、ジャングル(熱帯雨林)とパンパス(熱帯湿原)へのツアーをオファーする現地の旅行会社やレストラン、ホテルなどの観光業が町の主要産業となっている。(もちろん、私ら一家の経営する民芸品屋も一役買っていますとも!)


 そんな、ルレナバケのエコツーリズムの開拓者とも言えるヨシ・ジンスバーグ、今ではオーストラリアに住んでいて、ジャングルのサバイバル体験を通じてビジネスセオリーなどを築き上げ各地で講演活動などを行っているという。その彼が、先日、ルレナバケにやってきた。ヨシが遭難したジャングルに近いルレナバケに住む者にとって、容易にその様子を目に浮かばせることができるジャングルの描写や、そこで一人でサバイバルするストーリーを、まるで自分の身に起きているかのように希望を持ったり絶望したりしながら読み進み、主人公である彼に勝手に親近感を抱いちゃっていた私。彼のウェルカムイベントに物見高く会いに行ったら、とってもノリよく気さくに色々なお話をしてくれた。


 彼は、「自分がジャングルを生き抜いたことによって、またその体験を本にしたことによって、図らずもルレナバケはジャングルの出発地点として観光業を発展させることとなった。そして、エコツーリズムは、町に収入源を与えるだけでなく、ジャングルの森林伐採や狩猟を控えさせ、環境保護にも繋がっている、そのことに貢献できたことがとても嬉しい」と言っていた。


 そうなのだ。エコツーリズムは、アマゾンの自然を守るための最後の砦となり得る。このアマゾン河の源流にダムを造ったり、石油開発をしたり、コカ栽培を推進したりしようとしている現政府に、是非とも聞いて知ってもらいたい。



 来年初め、ヨシ・ジンスバーグのジャングル生還ストーリーをもとにした映画『Jungle』が公開される。カール役はケビン・コスナー、そしてヨシ役にはハリーポッターのダニエル・ラドクリフが演じているという。残念ながら、撮影はボリビアのアマゾンではなく、オーストラリアとコロンビアで行われたそうだけど、どんな風に映像化されているのか、見るのがとっても楽しみだ。


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(浮かれて、一緒に撮ってもらった写真。真ん中がヨシ・ジンスバーグ、右は私の親友かつジャングル旅行会社のオーナーでもあるチェコ出身のテレサ。)


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(こちらは、ヨシを囲む町の役場の面子。ヨシの右隣が今のルレナバケの町長で、そのまた右隣が、35年前にヨシを救助した猟師のティコ・トゥデラ。)