2ヶ月ほど前、ハンモックをひとつ肩に背負って、強い日差しの下を歩くひとりのオジチャンと出会った。
人の良さそうなこのオジチャン、名前をホルヘ氏と言って、トリニダからサンタクルスの道中にあるグアラヨ族の村から初めてルレナバケの町にやってきて、自分とその家族でつくっている手織りのハンモックを売ることを試みているのだけど、一日中売り歩いているのに、まだひとつも売れない、と切なそうに言う。
どれどれ、とハンモックを広げてみると、さすがは手織りなだけあって、織り目がとってもしっかりしているではないか。
でも、売れない。なぜか。
なぜならこの辺りには、観光客に目をつけた商売人がはるばるブラジルから売りにくる、機械織りのハンモックがお買い得すぎる破格のお値段で売られているのである。そして、その安さに、グアラヨ族のお手製ハンモックは対抗できないようなのである。
確かに、オジチャンの言い値は張る。ブラジル製ハンモックの何倍もする。でも、頑丈さはオジチャンの保証付きだ。なにしろ、機械で大量生産される生地と違って、ひと織りひと織り、生の人間の手がかかって織り上げられたものなのである。ハンモック素人の私が見ても、織り生地の分厚さが目に見えて違う。触り比べると、よりいっそう違う。オジチャン自慢のハンモックは、家族何代にも渡って使えそうな丈夫さかげんなのである。
そんなオジチャンが、今にも泣き出しそうに言う。「交通費をかけてわざわざ村から出て来たというのに、このままでは家族に顔見せできず、村に帰れない」と。
あぁ、なんてこったい。
買うよ、私。だから、元気だして、オジチャン!
しかも、ハンモックだけじゃなく、もっともっとたくさんの商品を注文しちゃうよ。だから、ぜひとも、これからラ・カンビータの仲間になってくださいまし!!
さて。そんなもんで、ハンモックやサイズ違いの肩下げバッグなど、さらなる注文をいれてあげると、少し元気になって、村に帰っていったセニョール・ホルヘ。
と、その数日後、ホルヘ氏から電話がかかってくる。
そしてオジチャン、またしても泣きそうな声で、こう言うではないか。
「うちの奥さんが新しい注文のこと、信じてくれないんだ〜。お願いだから、セニョリータ(私のこと)から説明してくれ!」と。
あぁ、オジチャン! 奥さんの尻に敷かれた様子が、かわいそうなんだけど、なんだかとっても微笑ましい。マチスタ(男性優位文化)の国にも、こんな夫婦もいるのだ。
そんなわけで、あらためて私からオジチャンのパートナー(というか、ボス?)であるオバチャンに電話で注文の詳細を誠意をもって話す。「ホルヘさんに伝えた注文は本当のことだから、安心して、はりきって、ご家族やご近所のみなさんと素敵な商品を織ってくださいな」と。
そして、先日、ついにオジチャンが帰ってきた。私の注文した商品たちの入った荷物をかついで。
はい、そんなホルヘ氏、登場!

そんでもって、新しくご縁を得たオジチャンとそのご家族たちの手織り作品をご覧あれ。ジャ、ジャーーーン!

こうして、新しく縁を持てたオジチャンとその一族。これからいろいろアイデアを出し合って、素敵な商品を生み出していけたらいいなぁ、と思う。そして、そのうちオジチャンの住むグアラヨ族の村にもぜひ足を運んでみたい。